欲望はどこからくるのか
高校生の頃、衝撃的な映像を見ました。
ドキュメンタリーだったと思いますが、東南アジアに住んでいる純朴な少女がある日、
道端のTVで、赤い口紅のCMを見るのです。
それまでは、家族と生活することで精一杯で、それが彼女にとっての当たり前の日常でした。
ところが、 TVで素敵な赤いルージュを見てから、彼女はその口紅が欲しくてしょうがありません。
確か最後は、そのお金を貯めて都会にそのルージュを買いに行きたい、
と話している所で話は終わっていたと思います。
赤いルージュがあることを知らなければ、
彼女はそれからも家族と平和に 暮らせていたのではないでしょうか。
彼女は、“赤いルージュ”に象徴される、自分が今まで知らなかった、都会の生活というものがあるのだと知ってしまったのです。
知ってしまったら、もう、知らなかった頃には戻れません。
その後に 彼女がどうなったかはわかりませんが、 “知る” ということが、
人にとっての幸せに直結しないということだけは強く印象に残りました。
私にとっても、
色んな情報と知識を得ていくことは楽しいことでもありますが、
自分の枠を越えたものに関しては今の自分には扱えないものとして、
とても怖いな、と感じることがあります。
でも、知ってしまったら、もうどうしようもありません。
私にとって欲望は、全て知ってしまったことから始まるものです。
知らなければ欲しいと思わなかったのに、 知ってしまったので手に入れたくて しょうがない。
人がそれを手に入れて幸せになっている知識を得てしまったので、だから私は それが欲しい。
なにかが欲しいという欲望は、
“幸せ”になりたいという欲望なんですよね。
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