良かった探し


小さい頃、

なかなか上手く生きることができなかった私は、

<良かった探し>

にしばらくハマっていました。



昔、私がまだ少女だった頃、アニメでもテレビで流れていたのですが、


「少女ポリアンナ物語」


という小説を知っておりますでしょうか?


私はその前から図書館で読んでその話を知っていたのですが、


ポリアンナという少女が

幼くして両親をなくして孤児となり、知らない遠い親戚の叔母さんの家に引き取られます。

知らない土地、知らない自分を助けてくれない人たちに囲まれながらも

前向きに一生懸命生きていく少女の姿を描いたお話です。


その話の中で、

前向きにその少女が生きていくために選んだ方法が、

<良かった探し>

というものでした。


例えば、怪我をしてしまって、

本当は外で皆と遊びたいのに遊べないとき。

外で遊べないそんな自分がついてない、運がないなあ、とは思わず、


「良かった、怪我をしたせいで前から読みたかった本が

読める時間がとれた。私ってラッキーだなあ。」



…という風に、

発想の転換をはかって前向きになる考え方、

自分に起こることについて常に良い方だけを見ていく、

という方法として


<良かった探し> をする、というものでした。



常に起こることには良い面と悪い面がある。

じゃあ、良い方だけを見ようじゃないか、


ということです。


今となっては良く聞く話でもありますが、



当時の私には、頭にも浮かんだことのない発想で、


知ったときは、雷が落ちたような、

いうのはこの事なんだな、

というような衝撃を当時子供だった私は受けました。



そこからしばらくは、

ずっと<良かった探し>にはまっておりました。



ですが、そこからまたしばらく経つと、

<良かった探し>をしている自分の偽善ぐあいが

なんだかイヤになって止めてしまいました。



でも、また一回りして、

<良かった探し>に戻ってきつつある今日この頃です。



だって、

<良くない探し>

は誰にでもできる。



でも、

<良かった探し>は、

誰にでもできる訳じゃないと気づいたからです。




良かったなあ、

ようやくそれに気づく大人になることができて。



☽FORTUNER☽ 月丘 貴友

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